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本記事はシナリオ作成にあたり考えていたことなどの作者の覚書です。 シナリオのネタバレが含まれます。
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本シナリオはCardWirth(CW)で初めて完成させたシナリオになりました。 そのため、シナリオ自体の後記というよりシナリオ製作に関する考えが多いです。
かつて初めてCWをプレイした頃にも、もちろん「シナリオを作ってみたい」という思いはいくらかあったと思います。しかし、エディタの見方すらよくわからない、プレイ中にバグに遭遇してもユーティリティモードの使い方すらわからない……と、当時はプレイオンリーでした。 それから幾星霜、CWを再開したあとも、しばらくは同様でした。
時代が流れ、いくつものシナリオ作成のノウハウがネットの海に消えていった一方で、CWは新規の非公式エンジンが躍進し、シナリオ製作ツールもまた進化していました。 「自分にシナリオ作りは無理」と思っていた私が「できる!」と変化した大きな理由は、白澤のく氏のWebサイト「雛の揺り籠亭」にあったCWXEditor講座です。
昔、公式のエディタの使い方を理解できなかった自分ですが、CardWirthPyに付属するXEditorに触れてみると、これがしっかりと近代化したシナリオ製作ツールになっており、非常になじみやすくわかりやすいものでした。 かつてゲーム作りに憧れるだけの子供だった自分が、プログラミングを多少学んだ大人になったことも、大きな土台の差でした。
そうして、人様のシナリオを参考にしつつ、この処理は自分ならこう実装してみよう……とエディタをいじる楽しみを覚えました。
とはいえ、人様に遊んでいただくシナリオを作るとなると、もう一段高いハードルを感じました。思い浮かんだアイデアを形にしようとするうちに、どこかで「面白くない」と感じてしまう。創作者あるあるだと思いますが、私も熱が冷めやすい方だと思います。
それが今回まがりなりにも公開する形でシナリオを完成させられたのは、「自分が見たいシーンを作る」という芯があったからだと思います。 もっというと、自分のプレイヤーキャラクター(PC)の存在が大きい。
CWを再開した理由は、公式や他人に配慮せず自分の好みだけをめいっぱい詰め込んだキャラクターで遊びたい、というのものでした。シナリオを遊びつつ妄想で補完するうちに、頭の中には様々なエピソードの断片が生まれました。 「プレイヤーに遊んでもらうため」だけでは動機(あるいは狂気)が足りなかった私は、それなら頭の中にある自PCのエピソードを、シナリオの形で表現してみよう、と決めました。
とはいえ、シナリオは人様に遊んでもらうもの。 「これは自PCのエピソードです」とシナリオをお出しするのは私個人としてはナシでした。 シナリオはプレイヤーのためにあるべき……というと少し言葉は強いですが(シナリオを作る側にも楽しみはあるべきだと思います)。 CWに限らずゲーム、漫画、小説、映画など、創作をしていれば、受け手(読者、視聴者、プレイヤー)側の気持ちを考えない作品は受け取ってもらえないことは、もはや言うまでもないことです。
人には人それぞれの愛着あるPCがいます。 CWプレイヤーは自分の愛着あるPCのエピソードとしてシナリオを味わうので、それが赤の他人の知りもしないキャラクターのエピソードをなぞっただけ、と感じてしまったら興ざめでしょう。
なので、シナリオを作る走り出しが「自PCで思い浮かんだエピソード」であっても、シナリオ体験はプレイしていただいたプレイヤーさん自身の物になるように……そして私もいちプレイヤーとして遊べるように。そういう意識でシナリオを作りました。
具体的には、対応種族やクーポン、口調の対応を増やした点です。 初めは自分のPCをイメージしてシナリオの本筋を書きました。それから、自分のPCにはない種族や関係性、口調などを思い浮かべてバリエーションを出していきました。それぞれの差分はほんの僅かではありますが、その僅かが積み重なってプレイヤーごとに異なる体験になっていくのが、CWの楽しい部分だと思います。
実はシナリオの締めのセリフの有無は、PC2名の関係性の有無によって異なるため、どのようなPCでプレイしたかによって、読後感が少し違うかもしれません。でもそれは様々なPCで周回などしない限り、基本的にプレイヤーさんは気付けないことだと思います。その辺りも、プレイヤーさんそれぞれの物語ということでいいかな……と思ってそのままにしました。
初めての創作を行う時、目標が高いと完成前にやる気をなくすのが私のよくあるパターンです。 なので今回はとにかく目標を低く持つ、ということを強く意識しました。
CWにはキーコードを活用した探索や戦闘シーン、カードの取得など、基本となる部分でもたくさんの遊びの要素があります。 しかしそれらを全て扱うと、学ぶことや作るものが膨大な量になってしまいます。どう考えても挫折ルート。なので本シナリオは1本道の読み物にしました。
まずは「シナリオを完成させた」という実績、トロフィーを獲得しよう。次に作る時にまた少しずつ新しいことを学んでいこう。そう自分に言い聞かせて、欲張らずに小規模なシナリオに収められたことも、なんとか公開までたどり着けた大きな理由だと思います。
私は趣味の事で時間に追われると疲れてしまうのですが、それでも物を完成させるとなると〆切の存在は大きいです。本シナリオは『100KBシナ作祭り』参加作品ですが、この企画の存在も大きな後押しとなりました。他人が引いてくれた〆切があるのも、完成品を出すだけで参加できる気軽さもありがたかったです。
シナリオを作ったことがないため、100KBが具体的にどの程度の規模のシナリオなのかが感覚としてわかりませんでした。ですが作るうちに、「こうすれば容量を抑えつつ表現できる」といったことも学べるのが楽しかったです。 気に入っている点は、背景画像を減色+小さいサイズにすることで、CW画面上で拡大して表示されるときに、レトロゲームのピクセルアートのような表現にできたところです。 その他、札絵が2値だったりBGMは潔く無しと節約したことで、圧縮後容量は50KB程度に。100KB近くになるまで文章でボリュームを出そうかとも思いましたが、かえって蛇足ばかりになりそうな気がしてやめました。